帝王切開って何ですか?
まっすぐな目で体操服姿で体育座りをした男子が私に質問したこの言葉が忘れられません。
10数年程前に福岡市近郊の自治体で中学3年生の授業で生命の誕生について講義を担当させてもらっていたことがありました。
授業の内容は、女性が妊娠してから出産、そして産後の様子までを話してその後妊婦体験として7キロの重りのついた腹部が出ている妊婦体験エプロンを着て動きの大変さを感じてもらうというものでした。
受験前の大切な時期にこのお話をさせてもらうのはとてもありがたいけど受験勉強をしたい時期に受験項目とは関係ない学習は受け入れてもらえるのかな、とやや不安ではありました。
不安は必要ありませんでした。
皆さん本当にまじめに授業に取り組んでくれました。
その講義の中で話した「帝王切開」という言葉(お腹の赤ちゃんが頭部が上側だと逆子といってその場合は現在は手術で赤ちゃんを産ませる※それ以外の場合も帝王切開はあります)についてまっすぐな目で聞いてくれました。
そうか言葉の説明が足りなかったと反省するとともにしっかり授業を聞いてくれているんだとわかりました。
授業でお話ししたかったことは、みんなのお母さんは、つわりや重いお腹そして大変な出産、それで終わりじゃなくてそれ以上に大変な産後の時期を周りの家族のサポートを受けながら大切にあなたたちを育ててきたんですよ、ということでした。
もちろんすべてが大変だけどうまくゆくわけではなくて産婦人科で勤務していると、流産・死産・不妊など悲しい事実もあることも伝えました。
ほんの一瞬の関りでしたが、その時の学生さんたちが少しでもこの授業の話を覚えててくれて妊婦さんに優しくしたり、産後の女性をいたわったりしてくれたらいいな、と思います。
そして、できればあたたかい家庭を作っていてほしいです。