出産の現場では

2024年2月18日

助産師になって30年。
新卒の時、同期の友人は総合病院に就職している中、私だけは出産が多い福岡市近郊のクリニックに就職しました。
新人の時から、まずは出産の介助につきなさいというその職場の方針により、先輩の指導のもと毎日出産の介助の担当をさせてもらいました。
とにかく毎日分娩室で出産を介助していた中で、スムーズにいった出産よりも印象深いのは悲しい出産でした。

産声を上げることができなかった赤ちゃんは、それまでは確かにママの体の中で生きていました。
ママと家族の悲しみを考えると自分は何と声をかければいいか、などと考えていましたが、違いました。声なんてかけられませんでした。
ただただ、ママの体を安静に痛みがないかを観察してそばにいる事だけでした。
赤ちゃんが亡くなった悲しさはその人にしかわからないと思います。
ママと家族の幸せを願わずにはいられません。

数年後にその方が新たな命を授かって無事に出産されたときはほっとしたと同時にとても嬉しかったです。

出産の現場にいるとうれしいことがほとんどだけど、うれしいことばかりではありませんでした。
だから、命を授かって無事に生まれてくるということはすごいことだしありがたいことだなぁって思います。





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