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忘れられない出産があります。
20年前の話です。
出産が多いクリニックに勤務していたころのことで、夜勤の事の話です。
二人目を出産する妊婦さんが陣痛が10分おきになったので夜7時ごろに入院しました。
助産師の私は、内診という診察をしてモニターという分娩監視装置を付けて赤ちゃんが元気なこと・出産は早そうだな、破水をしたらいっきに進むかも、ということを考えました。
出産のときは、赤ちゃんが生まれる準備がありますので分娩が急速に進む超順調の方は私たちスタッフがバタバタすることがあります。かといって早くから妊婦さんの脚を開いて準備をするのは苦痛だし、違います。ちょうど良いタイミングがあるんです。
そこで、分娩室で自由に過ごしていただきました。
勤務していたクリニックはとても素敵な(詳しくは言えませんが、)分娩室だのです。陣痛室は狭かったです。
LDRというお部屋は陣痛から出産までいい感じのお部屋で過ごせますが、ベッドを分娩仕様に変換させるのがガチャガチャと(否定はしませんが)大変です。
一般に陣痛の時は痛いし不安だしつらいという感じです。人によっては誰もいない方がいいし自分で頑張る、というスタンスの方もいます。
分娩室で過ごしてもらうとき、基本的に産婦さんを一人きりにしてはいけませんが、好きな音楽を持参されていたのでそれを結構大きな音で流して、分娩前のもろもろの準備で隣のナースステーションと分娩室を行ったり来たりしていました。
その妊婦さんは、痛がったり、不安げな様子もなく、分娩台のベッドの周りをうろうろと動きながら大きな声で歌っていました。
「1人カラオケ」です。衝撃でした。(この方は絶対早くお産が進む!)
陣痛で痛いときの呼吸法はどこか一点を見つめて集中し息をふぅーっと吐きます。
これを1人カラオケで代用しておられました。
ひとから呼吸法?と立って動くことは重力の関係で赤ちゃんが下に下がって出産がさらに進みます。
助産師は不安を和らげるため呼吸法を一緒にしたり、痛い場所をさすったり圧迫したりして励ますのですが、この方には全く不要でした。
歌に集中していた産婦さんを私は邪魔しないように透明になったつもりで存在し、時々お産の進み具合を診察させてください、と歌を中断させて申し訳ないと思いながらお願いしていました。
やはりお産は超順調で赤ちゃんも元気。準備もばたつかず間に合ってほっとしました。
出産の介助では、たとえその場限りとしても産婦さんと助産師の気持ちの交流というものが多少はあるのですが、この方とは全くなく、ほんとに歌と出産に集中してありました。
自分で産むとはこういうことかと感心させられたし、今でも尊敬しています。
その時の歌は浜崎あゆみさんの歌でした。
今でも浜崎あゆみをTVで見るとそのことが思い出されます。
